冬になって空気が乾燥してくると、手が荒れてカサカサに……そんな悩みを持つ人は少なくありません。しかし、一見手荒れとは無縁のように思える「手掌多汗症」の人も、手荒れで悩むケースがあるということを知っていましたか?
ここでは、手掌多汗症と手荒れの関係についてご紹介します。
乾燥の手荒れとは
一般的な手荒れは、乾燥によって表皮にある角質層の水分が足りなくなることで、炎症などのトラブルが起こりやすくなり、痛みやかゆみを引き起こします。原因としては、加齢によるものや毎日の水仕事があげられます。また、指先を多く使う仕事をしている方にも多いトラブルです。
近年では清潔に保つことを意識しすぎて、一日に何度も手を洗ったり、朝晩シャワーを浴びたりする方がいますが、これらも皮膚の水分を必要以上に奪う原因になります。そのほかには、除菌のためのアルコール消毒なども手荒れの原因としてあげられます。
大量の手汗が手荒れをまねく?
では、手掌多汗症の人に起こる手荒れとは、どういったものなのでしょうか。手掌多汗症とは、読んで字のごとく、てのひらに大量の汗をかく症状です。その汗を抑える治療法として「塩化アルミニウム水溶液」を塗布します。塩化アルミニウムは塩を結晶化することができるため、手のひらに汗をかいた際に汗に含まれる塩分を結晶化して、汗腺に「栓」をする効果があります。
これは病院で処方されるほか、一部の薬局などでも買うことができます。直接皮膚に塗ることで絶大な効果が得られますが、肌が弱い人は手荒れを起こすことがあります。「手荒れ=乾燥が原因」と思われがちですが、手掌多汗症ならではの手荒れの悩みも少なからず存在するのです。
自分でもできる手汗&手荒れ予防法
手掌多汗症の制汗剤として使う「塩化アルミニウム」が手荒れの原因となっている場合、水溶液の濃度に問題があると考えられます。手掌多汗症に効果があり、同時に手荒れも起こりにくい自分に合った濃度(5~20%程度)を見つけることが重要です。
また、手汗が原因となる手荒れの予防には、根本的な原因である多汗の症状を鎮めることがもっとも有効です。家庭でも簡単にできる方法には、以下のようなものがあります。
ミョウバンを薄めて手の平に塗る
料理のあく抜きなどに使うミョウバンを水に溶かして使う、昔ながらの制汗法です。ミョウバンには、収れん作用があるため、汗が出にくくなると言われています。
ヨガやストレッチで自律神経系の乱れを整える
ヨガやストレッチを継続的に行い、リラックスした状態を保つことで、発汗をコントロールする自律神経系(交感神経と副交感神経)の乱れが改善されることが期待できます。もともと、過度な発汗は精神状態に深く関係するとされていますので、ヨガなどでストレスを発散することは効果的だと言えるでしょう。
植物性エストロゲンを含む食材を摂る
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」と似た働きをする「植物性エストロゲン」は、自律神経系を整える役割があるとされています。納豆や豆腐、かぼちゃ、さやえんどうなどに多く含まれています。発汗を促すとされる糖分や香辛料などを避ければ、より効果的です。
運動をして汗を出す
運動で意図的に汗を出すことで、普段の汗の量が抑えられることがあります。特に、オフィスなどのエアコンの効いた部屋で、一日中座って作業するような人は、制汗のためだけでなく、健康のためにも日常的に運動を取り入れることをおすすめします。
手汗&手荒れ予防法は、いずれの場合も継続することによって効果が発揮されると言われています。しかし、自分に合わない方法を嫌々続けることは、ストレスがたまりますよね。
ストレスは多汗の原因になると言われていますので、自分に合わない予防をしていると、逆に悪化することもあります。より高い効果を得るためには、あなた自身が気持ちよく続けられる方法を選ぶことが大切です。
ここでは、手汗による手荒れと自分でできる予防法をご紹介しました。
しかし、自分でできる対策には限界がありますので、手汗や手荒れの症状がひどい場合は、クリニックを受診し、しっかりと治療することをおすすめします。