頭や上半身が突然カーッと熱を持ち、顔や首もとから汗が吹き出したり、睡眠中に下着がビショビショになるほど汗をかき、目が覚めてしまうといった症状は、更年期を迎えた女性の多くが経験していると言われています。
この症状はホットフラッシュと言われるもので、更年期の典型的な症状の一つとされています。
ホットフラッシュに伴う多汗は、更年期障害に悩む女性の約8割が経験するとされ、中には「汗が大量に出るせいで、一日に何度も下着や服を取り替えなければならない」といったケースもみられます。
ホットフラッシュによる多汗はなぜ起こる?
ホットフラッシュの主な原因は、血管の拡張、収縮や発汗調整をコントロールしている自律神経の乱れにあるとされています。更年期になると女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少していきます。
すると、エストロゲンを出すために、脳からエストロゲンの分泌を促すための卵胞刺激ホルモンが分泌されます。それでもエストロゲンを分泌することができず、エストロゲンの減少と卵胞刺激ホルモンの増加というホルモンバランスの乱れによって、自律神経の失調が引き起こされると考えられています。
加えて、女性ホルモンのバランスや自律神経が乱れると、甲状腺ホルモンやアドレナリンなどの分泌量も適切ではなくなり、血管の収縮や、体温の上昇といった症状が出てきます。これが更年期障害で多く見られるホットフラッシュが起きる引き金となっているのです。
また、ホットフラッシュによってかく汗は、汗腺の機能も低下していることで、ベタベタした不快な汗となり、臭いもきついことが挙げられます。人前でも突然汗をかいてしまうため、この臭いも悩みの種となってしまいます。
更年期にみられる多汗の対策、予防法
更年期障害にみられる多汗の対策、予防法は、普段の生活の中で行なうことができます。更年期障害は多くの場合、数年間続きます。
対策や予防法は、気軽に長く続けられるものを選ぶことが大切です。そこで、毎日行っても負担が少ないセルフケアの方法をご紹介します。
ウォーキングなど負担の少ない運動
更年期の多汗は、自律神経の乱れが原因で起こるケースがほとんどです。そのため、自律神経を活性化することで、多汗による不快な症状を緩和させることができます。
この自律神経の活性化に効果的なのが適度な運動。ハードな運動を行なう必要はありません。週4日、1日30分程度のウォーキングを続けることで、自律神経の改善が期待できます。
入浴で下半身を温める
ホットフラッシュは血行不良が原因の1つです。ホットフラッシュの症状により顔や上半身が熱く火照りますが、実は下半身や手先は血行不良で冷えています。血行の改善は身体をしっかり温めること。
身体が火照るので、どうしても冷やしてしまいたくなりますが、すこしぬるめのお風呂にゆっくりと浸かり、手足を温め血行を良くすることが改善につながります。また、入浴にはリフレッシュ効果もあり、自立神経の正常化にも期待できます。
突然の発汗を抑える時は
日頃の予防を行なっていてもホットフラッシュが始まったときは、首の後ろを冷却シートなどで冷やすことで症状は楽になります。突然始まる症状に備えて常備しておくとよいでしょう。
更年期障害は多くの女性が経験することになります。但し、ほとんどの場合が一定期間で収まるので、日頃の対策を行ってうまく乗り越えていきましょう。一定期間様子を見ても改善されず、汗でお困りなら専門医に相談することをおすすめします。