日差しが強くなり、気温が上がると出てくるのは大量の汗。特に夏の時期に汗をかいて、顔や身体がかゆくなったという経験はないでしょうか。肌がかゆいからといってボリボリとかきむしると、肌が傷ついて赤くなったり血が出てしまったりすることも。
そこで今回は、夏に汗をかいたときに肌がかゆくなる原因、その対処法と予防法について紹介していきます。
夏に汗をかくと肌がかゆい理由
夏は、肌の表面にある皮脂膜のpH(ペーハー)バランスがとても崩れやすい季節です。pHとは水溶液の性質を示す単位のことで、通常は皮脂膜のpHは弱酸性で保たれています。しかし夏に汗をかいたり紫外線を受けたりすることで、このpHバランスが崩れてしまうのです。夏に汗をかくと肌がかゆい理由は、以下のようなものがあります。
汗による細菌の繁殖
私たちの肌は通常は弱酸性で、それに対して汗はアルカリ性。汗をかいたまま放っておくと、水分が蒸発してさらにアルカリ性濃度が高くなり、肌のpHバランスが崩れてしまいます。pHバランスが崩れることで細菌が繁殖しやすい環境となり、肌荒れを起こしてしまいます。
紫外線の影響で肌が敏感な状態
夏は日差しが強くなる上に薄着になるので、紫外線による肌への負担が大きくなります。紫外線によってダメージを受けた肌は、潤い成分などが損なわれ敏感な状態になっています。そんな状態の肌には汗が強い刺激となります。
エアコンによる乾燥でバリア機能が低下
エアコンは室内の水分を奪って湿度を下げるため、エアコンをよく使う夏は空気が乾燥しやすくなります。室内が乾燥すると肌の角質層の水分がどんどん蒸発して、乾燥肌を引き起こします。すると肌のバリア機能が低下し、汗をはじめ外的な刺激を受けやすくなるのです。
あせもができる
夏場の代表的な肌の湿疹「あせも」は、汗を大量にかいて汗管が汗で詰まってしまうことで起こります。皮膚の内部に汗がたまってしまい、水膨れになったり炎症を起こしたりしてかゆみの原因になってしまいます。
汗でかゆい肌への対処法
汗をかいて肌がかゆいからといってボリボリとかくと、肌の表面を傷つけてしまいます。そこから細菌などが侵入して、さらにかゆくなったり炎症を起こしたりすることもあるため、正しい対処法でかゆみを鎮めましょう。
汗で肌がかゆくなってしまったときは、「清潔にする」、「冷やす」の2点が大切です。はじめは、柔らかいタオルなどで優しく汗を拭きとってください。そして清潔なタオルを水で濡らすか、保冷材をタオルで包んでかゆい箇所に当てましょう。
このとき、氷や保冷材を直接肌に当てないよう注意してください。氷や保冷剤は温度が極端に低いので、凍傷になる恐れがあるためです。
肌のかゆみがおさまったら、化粧水や乳液できちんと保湿しましょう。あせもができている場合は、皮膚科で処方されるステロイド外用剤などの塗り薬を塗布してください。
普段からできる! 汗によるかゆみの予防法
実は日頃のちょっとした心がけ次第で、ツラいかゆみを予防することができます。肌が汗でかゆくなる前に、特に夏は以下のポイントを意識してみてください。
お風呂にゆっくりと浸かる
暑い夏でもシャワーだけで済ますことなく、湯船にゆっくりと浸かりましょう。湯船に浸かることで新陳代謝がよくなり、体内の老廃物を排出することができます。ただし、温度が高すぎると肌にとって必要な皮脂も溶かしてしまうので、必ずぬるめのお湯にしてください。
石鹸で洗いすぎない
汗を流そうとして過度に身体を洗うと、必要な皮脂まで洗い流し肌が乾燥しやすくなってしまいます。肌が乾燥すると刺激を受けやすくなるので、優しく肌を洗うようにしましょう。
保湿ケアは念入りに
乾燥しやすい入浴後には、化粧水や乳液による保湿が欠かせません。そのほか、日中に紫外線やエアコンなどにより肌が乾燥してきたなと感じたら、保湿クリームを塗るなどして肌の潤いを保ちましょう。
エアコンはなるべく使用しない
上述したように、肌の乾燥を促進させるエアコンはできるだけ使用しないようにします。窓を開けて空気を入れ替える、扇風機を使うなどして暑さ対策をしてください。
日焼け止めを使用する
特に日差しが強い夏場は、紫外線対策として日焼け止めを使いましょう。夏は汗で日焼け止めが流れ落ちやすいので、こまめに塗るように意識してください。
汗はこまめに拭きとる
汗をかいたときは、清潔なハンカチや汗拭きシートなどでこまめに拭いて、細菌が繁殖しないように清潔な状態を保ってください。その際はゴシゴシ擦らず、軽く抑えるようにするのがポイントです。
汗をかくと老廃物が一緒に流れ出るため、汗をかくこと自体は決して悪いことではありません。汗をかいたときにかゆみを引き起こす原因を取り除くことで丈夫な肌を保てます。正しいケアの方法を身につけて、汗をかきやすい夏場にもかゆみのない肌を目指しましょう。