汗を流してせっせと働くことを「額に汗する」といいますが、一生懸命仕事に打ち込んでいる時にかく汗は、清々しく気持ちが良いものです。しかし、特に何もしていない時に、顔や頭部などから止めどなく汗が流れてくるとしたら、やはり不快ですよね。
特に顔は、汗をかきやすい手のひらや脇などと違って隠すことができないので「人の視線が気になって余計に発汗してしまう」という事態に陥りやすい面もあります。
そこで今回は、顔に過剰な汗をかいてしまう「顔汗」について考えていきたいと思います。
顔面に大量の汗をかく理由 その1 精神性発汗
顔からだけ大量の汗が吹き出す「顔汗」の症状が出た場合、まず疑いたいのが顔面多汗症です。多汗症というと、手のひらや足の裏、脇などにみられる症状というイメージが強いかもしれませんが、顔面にも実は出やすい症状です。
多汗症、特に精神的な緊張やストレスによって起こる「精神性発汗」の場合、身体全体に分布する「エクリン腺」という汗腺から汗が大量に分泌されます。
このエクリン腺は、全身でも密度が濃いところと薄いところがあるのですが、顔面、特に額にはエクリン腺が密集している部位でもあります。そのため、精神性発汗が顔にでるのは、そう珍しいケースではないのです。
顔面に大量の汗をかく理由 その2 汗腺機能の低下
全身の汗腺が機能低下を起こしている場合も、顔面に多汗が現れることがあります。人間の汗腺は約400~500万個あると言われていますが、そのうち実際に汗を分泌している「能動汗腺」は、そのうち半分程度です。
残りは休眠、または機能が低下して使えない状態となっています。ここで注目したいのが、人間の汗腺は脳に近い頭部ほど良く発達していて、脳から遠い腕や足の汗腺は機能が低下しやすいという点です。
人間の身体は汗をかくことで体温を調整していますが、身体の大部分の汗腺機能が落ちてしまうと、そのしわ寄せが発達した汗腺に来てしまいます。つまり、下半身や末端の汗腺機能が低下してしまうと、発達した顔面や頭部の汗腺が汗をたくさん出して体温を保とうとする、という訳ですね。
現代人の場合、運動不足やエアコン漬けの環境などの問題から全身で汗をかくことが少なくなっており、身体全体の汗腺機能が低下しやすい傾向があります。その結果、頭部の発達した汗腺が汗を大量に分泌することになり、顔面多汗症になりやすい状態となっているのです。
顔汗、顔面多汗症を改善する方法とは?
顔汗や顔面多汗症が、精神性のものと汗腺の状態によるものの2種類あることはご理解いただけたと思います。顔汗の改善をする時に大切なのは、自分の顔汗がどちらのタイプなのか見極めなければならない、ということです。
とはいっても、自己判断でタイプを見極めるのはなかなか難しいので、まずは多汗症に対応しているクリニックに相談し、診察を受けるのが一番です。
一人で悩みを抱え込むのであれば、まずは当院にご相談ください。